赤ちゃんが乾燥肌など肌トラブルを起こすと「もしかして母乳が原因なの?」と自分を責めて思い悩むママが大勢います。
桶谷式など日本の母乳育児業界では「食べたものが母乳に影響する」という母乳神話があり、権威のあるはずのお医者さんでさえ患者にそう指導しています。
しかし赤ちゃんの乾燥肌の原因はさまざまで必ずしも母乳のせいではありません。
そこでこの記事では食べたものが母乳に影響するのかどうか、そして赤ちゃんの乾燥肌の本当の原因と対策を紹介します。
赤ちゃんの乾燥肌はママの母乳の質が悪いせい?
赤ちゃんに乾燥肌や乳児湿疹など肌トラブルが起きると「私の母乳の質が悪いせいだ!」と落ち込むママもいると思いますが、それは少し短絡的です。
なぜなら、赤ちゃんの乾燥肌の原因はいろいろあり、母乳の質はその一つにすぎないからです。
また乾燥肌の解決方法もいろいろあります。母乳の質の改善はその一つにすぎません。
乾燥肌の解決にはスキンケアを心がけることがもっとも大切で、母乳の質の改善は「やらないよりはやった方がマシ」という程度にすぎません。
母乳の質への影響の程度も、個人差が大きく、何を食べても影響ない方もいれば、モロに影響が出る方もいます。そして影響が出る食べ物も人それぞれです。
そもそも、”食べたものが母乳に影響する”というのは母乳業界の人が信じ込んている「母乳神話」のようなもので、それ自体にも賛否両論があります。
海外の研究では何を食べても母乳の質に関係ないという報告がありますが、日本では桶谷式をはじめ、食べたものが母乳に影響すると意見が主流です。
でも、この母乳神話、医学的な根拠があるわけではありません。なのにお医者さんにそう言われたからと言って、厳しい食事制限に涙ぐましい努力をしているママも大勢います。
結局、よっぽど極端な偏食、ドカ食い、臭いのキツいものを食べたりしないかぎりは、母乳の質にあまり影響はないでしょう。
それよりも普段からバランスのとれた健康的な食生活を送る程度で十分なのでは?と思います。
食事内容は母乳の質に関係あるの?
いわゆる、「食べたものが母乳の質に影響する」という説について、欧米の研究では以下のような実験があります。
栄養状態が違う北欧とアフリカの母親の母乳を分析したところ、母乳の成分はほぼ同じであった、という研究論文です。
詳しくは小児科医で二次の母である森戸やすみ先生のブログを参照してほしいのですが、「母乳の恒常性」について触れています。
一部抜粋すると、
私たちの体は周囲の環境が変わっても、いつも同じ状態を保てるようにできています。これを恒常性といいます。寒くても暑くても体温が一定に保たれるのと同じように、塩分を多くとっても血液はしょっぱくならないし、糖分を多く摂っても血液は一定以上に甘くならないのです。 |
要はよっぽど偏った食生活をしない限りは人の母乳の成分はそれほど変わりはない、ということです。
ちなみに上記のブログによると、何を食べたら母乳の味がどう変わるのか、味覚センサーを使った研究論文でも科学的に証明されていないようです。
一方、母乳育児で有名な桶谷式では「良いおっぱいと悪いおっぱいがあり、それは母親が食べたもので決まる」とされています。
例えば「伝統的な和食にするとさらりとした甘い母乳になる」「脂っこいもの、乳製品を食べると乳腺が詰まる」など。
パパ・ママ学級でもそう指導するところがあるくらいなので、育児の「い」の字も知らない妊娠中のママたちは、そう信じてしまうのも無理はありません。
長年指導してきた経験からそう言っているのかもしれませんが、実は科学的根拠やメカニズムに乏しいものであることを知っておいてください。
それよりも「母乳のために甘いお菓子を我慢する」「ラーメン、カレーも我慢する」「魚は嫌いだけど母乳のために我慢する」など、我慢して食べていたらストレスが溜まり、そのこと自体が母乳の質を悪くしてしまうでしょう。
そんなことを気にするくらいなら、ちょっとだけ健康に気を使った食生活にしてみる程度でいいのではないでしょうか?
赤ちゃんの乾燥肌の原因とは?
赤ちゃんのお肌ってきめ細かくてツヤツヤしているから、てっきり肌の水分量も多くてまさに理想的なお肌のように思いがちです。
たしかに生後1~2ヶ月くらいまでは体内に母親のホルモンが残留しているため、皮脂の分泌が盛んで、中には脂漏性湿疹になる赤ちゃんもいます。
しかし赤ちゃんの皮膚の厚みは大人の半分しかありません。角質層は水分が蒸発するのを防ぐバリア機能がありますが、赤ちゃんの角質層は大人に比べて未発達です。
3ヶ月頃になると皮脂の分泌量は落ちてきて、皮脂量は大人の2分の1以下、水分量にいたっては3分の2まで減ります。
皮脂量が落ちると皮脂膜が十分に形成されず、お肌も乾燥してきます。するとお肌を保持する能力も徐々に失いカサカサになります。
3ヶ月から3才までは人の一生で一番乾燥肌になると言われています。顔だけでなく体全体に保湿が必要なのでローションやクリームなどでしっかりケアしましょう。
また、この時期にしっかりスキンケアしていると、大人になってからもキレイなお肌をキープする力がつき美肌になるそうです。
他に考えられる乾燥肌の原因ですが、たとえば
・冷暖房のせいで部屋が乾燥している ・お風呂で必要以上に石けんで洗いすぎる ・水分不足 ・汗をかいて汗腺が詰まり皮脂汚れが溜まっている ・遺伝 ・母乳の質が悪い |
など原因はいろいろ考えられます。いずれにしても母乳は乾燥肌の原因としては順位は低いです。母乳の質を上げることを考えるよりも、他にやるべきことはいっぱいあります。
では赤ちゃんの乾燥肌の対策としてどのような点に気をつければいいでしょうか?
赤ちゃんの乾燥肌の対策とは?
部屋を加湿する
冬の季節は雨が何日も降らず湿度も30%近くまで下がる日々がけっこう続きます。部屋の湿度が低いと皮膚の水分も奪われてしまいます。
湿度の目安としては30%は危険水域です。できればお部屋に湿度計を置いて常に湿度40%~50%を目指すようにしてください。
1台の加湿器で足りないときは2台目を。エアコンを使うと乾燥するのでオイルヒーターも検討を。夜も濡れタオルを近くに置くなど加湿対策を徹底しましょう。
お風呂で洗いすぎない
毎日、石けんで全身を丁寧に洗うのは洗いすぎです。石けんで洗うのは2日に1度くらいにとどめて、それ以外の日はお湯で洗い流すようにしましょう。
うんこ漏れしたときは石けん洗いをしてもいいと思いますが、それ以外の自然な汚れは湯船に浸かるだけでも十分取れます。
使うソープやシャンプーもベビー用のなるべく洗浄力の強くないものを選びましょう。
洗うときはゴシゴシこすらず石けんを泡立てて優しく手で洗いましょう。皮膚の摩擦は厳禁です。
お風呂のお湯は適温で
またお湯の温度も高すぎるとお肌に潤いを与える保湿因子が流れてしまいます。湯船もシャワーも38~39℃くらいのお湯が適温です。
また保湿成分の入った入浴剤を使うのもよい方法です。その場合は、最後にシャワーで洗い流さずにそのままお風呂を上がりましょう。
風呂上がりは早目に保湿
風呂上がりは体を拭いてから5分以内に保湿しましょう。
入浴後はお肌が水で潤っているように見えますが、実は湯船に使っている間にお肌の保湿因子が流れているので、通常よりも乾燥しやすい状態にあります。
風呂上がりにお肌が乾燥したり、痒くなった経験のある方も多いと思いますが、入浴後の乾燥を予防するにはすぐに保湿を行うことが重要です。
タオルで水分を拭き取ったら5分以内にローションやクリームなどで保湿しましょう。そのまま自然乾燥させるとお肌がますます乾燥してしまいます。
まとめ
いかがでしたか?「食べたものが母乳に影響するから食事に気をつけるべき」という考えは神話のごとく日本に根付いている考え方ですが、必ずしも正しいとは限りません。
もちろん、中には「脂っこいものを食べたら母乳がドロっとした」など変化を感じる方もいるでしょう。でも、全ての人がそうとは限りません。
赤ちゃんが乾燥肌だからといって母乳だけに気をつけるのではなく、まずは乾燥肌になる原因と対策を理解することが第一です。
乾燥肌を予防するには入浴方法と風呂上がりの保湿が特に大切なので、赤ちゃんの健やかなお肌のためにもしっかりケアして乾燥を予防しましょう。
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